政経の世界№2―丸山和也・〝奴隷〟発言から議会制民主主義まで・1

 

政経の世界№2―丸山和也・〝奴隷〟発言から議会制民主主義まで・1

【掲載予定】(一部変更するかもしれない)
(序)愚痴
(1)丸山発言の問題点―1・言動分析。
(2)丸山発言の問題点―2・より大きな問題点
(3)職業としての議員と政治家の品位について。
(4)NHKなどは、啓発活動の一環として「政党・議員の発言の場」の拡充を。
(5)議会制民主主義の確立を目指して
(6)付録。昨日、私を挑発するためという暗示への返答。
※(1)~(3)→政経の世界№2・丸山発言と国会の責務・1
(4)~(6)→政経の世界№3・丸山発言と国会の責務・2

 

 

(序)愚痴

超多忙なときに、人生の最後の勝負をかけているときに、このような下品な発言を分析しなければならない我が身が悲しい。
取り合いたくない。世界に飢えている人が多数おり、争いも武力で解決するという不条理を解決せねばならぬときに、我が国でもワーキングプアーなる新語で労働哀史という世相のどまん中で、私自身がしなければならないことが山積している。
赤子がだだをこねる形で、こうした低劣な文書・発言に向かいあわされたのは、旧労働省所管・雇用能力開発機構運営の大学校講師時代と同様である。
だが、やむを得ず記したため公開を順次行う。

 

【結論】丸山和也氏は、人をからかう目的で、国会議員の給与を受け取りながら、国会で論議しなければならないことが山積している中で、上記発言を行(おこな)った、としか思えない。即ち、結果として職務怠慢、税金泥棒となっている。
発言内容は、人(オバマ大統領か、アメリカ国民か、アフリカンアメリカンの人たちか、日本人か、日本の議員か、誰かを)からかう目的で計算して行(おこな)った可能性が高い。目的は(自分の名を世界に売るための)名誉欲の可能性が高い。

 

【総論】テレビやその他で名を売れば議員にはなれる。議員としての地道な仕事は大して票にはならぬが、テレビで派手なことを言えば議員にはなれる。議員になるには大工さんの如(ごと)く技術はいらぬ。パイロットの如く技術もいらぬ。目立てばよい。

  
官僚の地位を向上させるには、各種手続をややこしくすればよい。本当は簡単にできるものでもややこしくすればよい。マニュアルも複雑でよい。通常の人はお手上げである。だから、官僚は生きていける。そうでなければ官僚には誰でもなれるため、自分の権威は失墜(しっつい)するである。うがって考えれば、今回の文書には官僚型発想も随所に見られた。
総論の二つの対策こそが議会制民主主義の確立に不可欠と考え、多忙な中で、この下品・低劣な文書の分析を行った。

 

※本来、私は有料で原稿を書き、それで食っていかなければならない人間なのであるが……。

 

(1)丸山発言の問題点―1(各論)

 

『朝日新聞Digital 』2016年2月17日より引用

★☆丸山氏の発言・引用開始★☆

丸山和也参院議員(自民党)の17日の参院憲法審査会での発言は次の通り。

 

憲法上の問題でもありますけれど、ややユートピア的かもわかりませんけれども、例えば、日本がですよ、アメリカの第51番目の州になるということについてですね、憲法上どのような問題があるのか、ないのか。例えばですね、そうするとですね、集団的自衛権、安保条約はまったく問題になりません。例えば、いまは拉致問題というのがありますけれど、拉致問題すらおそらく起こっていないでしょう。それから、いわゆる国の借金問題についてとかですね、こういう行政監視のきかないような、ずたずたの状態には絶対なっていないと思うんですよ。

              

これはですね、日本がなくなることではなくて、例えば、アメリカの制度になれば、人口比において下院議員の数が決まるんですね。比例して。するとですね、おそらく日本州というのは、最大の下院議員選出数を持つと思う、数でね。上院もですね、州一個とすれば2人ですけれども、日本もいくつかの州に分かれるとすると、かなり十数人の上院議員もできるとなる。これは、世界の中の日本と言うけれども、要するに、日本州の出身が米国の大統領になるって可能性が出てくるようなんですよ。ということは、世界の中心で行動できる日本という、まあ日本とはその時は言わないんですけれども、ありうるということなんですね。

                

バカみたいな話をすると、こう思われるかもしれませんが、例えば、いまアメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ、はっきり言って。リンカーンが奴隷解放をやったと。でも、公民権もない、何もない。ルーサーキングが出て、公民権運動の中で公民権が与えられた。でもですね、まさかアメリカの建国、あるいは当初の時代にですね、黒人、奴隷がですね、米国の大統領になるなんてことは考えもしない。これだけのですね、ダイナミックな変革をしていく国なんですよね。

            

そういう観点からですね、例えば、日本がですね、そういうことについて憲法上の問題があるのかないのか、どういうことかということについてお聞きしたい。
★☆丸山氏の発言・引用終了★☆

 

【問題点】
①赤字のこれはは何を指すのか。大統領を指すのか、黒人という語を指すのか。前者ならば一国の元首に対して、国会の場で「これは」は失礼となる。黒人をさしてこれはを使用しても不適切である。人種名に対して物呼ばわりするものではない。
逆を考えれば分かる。安倍総理をさして、「これは」などと言うものでは更にない。文脈、語調から言って喧嘩(けんか)言葉となっている。心理学的に相手を怒らせる形で使用されている。

 

英語のThisと日本語の「これは」は若干フィーリングが異なるためなお更である。英語ではThis is ~calling.やWho is it?などの表現がある。よって、英語の訳仕方一つで、アメリカからの非難をかわせるという小細工をした可能性がある。「This is」と「これは~です」は本来同一ではない。アメリカ人が使うLoveも日本語の「愛」とは多少違う。勿論、日本語の「すみません」は英語には直せないときがある。この発言からは、官僚か何かが入れ知恵をした疑惑も感じる。

 

②第一段落、第二段落を本気で実施するための法改正や憲法改正、更には日本とアメリカの合併のための外交交渉を具体的にするというので、第一段落、第二段落をだしたならばともかく、そうでないのならば、高校生の作文でしかない。すなわち、国会の審議(膨大な金を費やしているもの)を浪費したとなる。私の大学院時代の恩師の言葉を借りれば「民主主義にはコストがかかるし、かけている」。そのコストをどぶ捨てにしていると結果としてなっている。

           

③第三段落の文体を読めば、大変計算されつくした文体となっている。即(すなわ)ち、差別と差別でないかを巧妙な形で玉虫色とし、差別言動か否かの綱渡り文書としか読めない。だが、必ず相手を怒らせるように「これは」などの喧嘩(けんか)言葉が入っている。文のリズムも同様である。恐らくオバマ大統領を怒らせるか不機嫌にさせた上で、あとは玉虫色として逃げるという戦略が読み取れる。

そこで、私の判定は④の如(ごと)く、「人をからかった言動」としている。だが、より大きな判定「税金泥棒」・「職務怠慢」となっていることを再度指摘しておく。

 

④結論第三段落のごとく、人をからかう内容となっている。それはオバマ大統領か、アフリカンアメリカン系全体をか、アメリカ人をか、日本の国会をか……。だから、私の判定は「人を揶揄(やゆ)する」と表現したが、「揶揄(やゆ)」よりも、単純に「人をからかった内容」が適切と思われる。そして、それは計算をして行(おこな)われたとなる。
すると、以下の問題が生じてくる。

職務怠慢、と。後に解説するが如(ごと)く「税金泥棒」となっている。同時に議会、議員の品位を損なっており、鏡となるべき国会及び議員として、児童・生徒・学生への責任放棄ともなっている。児童ならば言うであろう。「卑怯(ひきょう)だ」、と。

 

この小さな見解を基にしてより大きな問題を記す。

 

※参考用文献。
※1)朝日新聞Digital2016年2月17日→丸山発言の全文収録
※2)読売Online2016年2月21日→この件に関する「読売新聞社説」収録

 

 

(2)丸山発言の問題点―2・より大きな問題点

 

国会議員は何をする人か。国民の血税で生活している以上、国民のために働かなければならない。すると国会の審議での言動は大変貴重である。だが、先の②の通りであり、目立つことを目的とした言動(自分の名を世界に売るための売名行為のために国会を利用した)としか思えない。しかも、それには以下のような問題を抱えていた。

 

具体的には、日本は5月にサミットがある。各国首脳に対して「おもてなし」でむかえねばならない。そのために、日本は幾ら金を使っているのか。しかし、丸山氏の言動で、オバマ大統領などが不愉快な思いを既にしていれば、おもてなし予算の一部が相殺(そうさい)され、お金を捨てたのと同一効果をもたらす。

 

少なくとも、今回の発言をアメリカのマスコミが取り上げれば、外務省は担当者を設け、有給で対応に当たらせる。丸山氏は、議員特権により、損害賠償からは逃れられると思われるが、本来ならば損害賠償ものである。恐らく、今回ですら外務省はアメリカ当局に事情を話したり、情報収集をしたりしたであろう。そのお金は税金である。

 

さらに、私は賛成していないが、内閣は予算審議に入っているため、丸山氏の言動で審議が乱れれば国会の経費が膨大に使われることになる。これもまた不必要な発言による被害、税泥棒である。
何故(なぜ)、こうした問題が生じたのか。

 

拙著『親方日の丸』に記したのと同一の原理からである。

 

マスコミで有名になった。もう、何があっても選挙には通る。万一、落選しても弁護士で食っていける。だが今のままでは総理は無理である。要するに必死でしても総理にはなれない。適当にしても生活に支障は来さない。そこで朝から晩まで、庶民の暮らしをみるために、各地に行ったり、対話をしたり、スタッフ総動員でアンケートや要望をとったりする努力はしなくてよいとなる。

           
勿論(もちろん)、丸山発言が問題となり予算審議がストップしても「詫(わ)びりゃいいんだ」「選挙じゃ、落ちないし、落ちても弁護士として食っていける。どちらが金になるかわからないんだ」。サミット。そんなもの知らない、となる。
私はサミットでの議論は別として、各国首脳を温かく迎える準備を考えている。丸山氏にはそうした感情がないとしか思えない。

 

政府の一員・与党としての自覚が欠如している。更に自民党の一党独裁型状況のため、危機感がないとしか思えない。

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議員になるにはパイロットや大工さんと異なり技術はいらぬ。懸命に国民のために働いて数票しか票が増えない。だが、テレビで派手なことを言えば、何万票、ときには何百万票と票が増える。これが問題の根底にある。議会改革が不可欠となっている証拠である。

 なお、この問題は今日の日本の官僚制度の弊害と表裏一体をなしている。これらの克服には「行動する議会」が不可欠となっている。では、行動する議会は如何(いか)にしてつくるか。この問題は、政経の世界で折りにふれ論ずることにする。

 

※参考用文献。
※3)拙著『親方日の丸』(第一部と第二部)(Kindle版)
※4)マックスウェーバー、「職業としての政治」{(『世界の大思想23・ウェーバー』、河出書房、1971年所収)、418~419頁など。}
※5)内田満『政治の品位』、東信堂、2007年、119~121頁

 

 

(3)職業としての議員と政治家の品位について。

 

議員は教育をよく論じる。では子供が議員の真似(まね)をしてよいのか。乱闘国会はもとより、国会キス事件(1948年12月13日に泉山三六大蔵大臣が泥酔により、他党の女性議員の手を握ったり抱きついたりしたため議員を辞職)、国会議事堂内で立ちション(今回、時間がなく資料掲載できず)をした議員もいる。生徒が学校内で乱闘をしたり、教室内で先の議員と同様なことをしたりしてよいのか、となる。

 

同様に丸山発言には品位と、勉学不足が見られ、教育上よくない。アメリカにおける奴隷の歴史認識が欠如している。アメリカの奴隷は当初は黒人ではなかった。アメリカの奴隷制度では黒人は三番目に目をつけられたという歴史認識が欠如している。(※アメリカにおける奴隷制度は、最初はネィティブ・アメリカン、次に貧しい白人と囚人の白人など、最後に黒人となった。詳細は拙著『求め続けて』第9章及び拙著『生命への畏敬(いけい)』参照。)

 

またオバマ大統領の祖先はアメリカの奴隷かどうかはプライバシー問題である。国会議員や政府役人には肖像権はない。しかし、プライバシー権はある。法律専門家の丸山氏の方が詳しいはずである。

 

よって、出自(しゅつじ)については本人が何かを言わぬ限り、他人が記してはならない。私は橋下前大阪市長と、いっとき対立した。それでも、他人が橋下君の出自をマスコミで公表したことには家で抗議の声をあげた。他人の出自は公職者でも本人が明白にしていない場合にはふれてはならない。

 

また、単語だけをみていけば、「これは」がきいており、喧嘩(けんか)ことば、相手を侮辱する感じを与えるときがある。この言葉の流れ、丸山氏の日本語リズムを何とか残した形で英訳して、米国のアフリカンアメリカンの人に見せて判定を仰いでいただきたい。英訳のリズム次第では問題ないとなり、英訳のリズム次第では相当数が不機嫌になるであろう。日本語を英語にするときのリズムの問題という抜け穴も利用して、発言した、巧妙な、誰かをからかうための文書・発言と私は分析した。

 

それでは国民の税金泥棒ではないか。官僚が勤務時間内にウィキペデイアへ書き込みをし、気にくわない相手をおとしめる内容を一部書き込んだときがあったと聞く。勤務時間は仕事をするものである。議員も同様である。会期中は勤務の中でも一番重要な勤務である。

 

いつか、政経の世界で議員の資質なるものをまとめる予定でいる。

 

星野監督が、阪神球団監督のときに、優勝争いで緊張し戻したことがあった。政治家はそれ以上に国民の命を預(あず)かっているのである。そしてそのために粉骨砕身(ふんこつさいしん)しなければならない。また、税を無駄づかいしない細心の注意が必要である。その自覚があったとは思えない。

 

先ほど書いた「親方日の丸」型体質となっているとしか思えない。

 

※参考用文献。
※6)拙著『求め続けて』9章(現在、安らぎ文庫にて順次、連載中)
※7)拙著『生命への畏敬(いけい)』第3章第4節(現在、作品作成順番及び出版順番待ちのため、公開日は未定)。

 

《以下、次回・「政経の世界№3」へ続く》